ベトナムにおいてサッカーは国民的スポーツです。
近年はFIFAランクも100位以内に入るようになり、メキメキと実力をつけてきています。
また、ベトナムのプロサッカーリーグでプレイする日本人選手も多く、今年の冬頃には元日本代表の松井大輔選手がサイゴンFCに加入したことも話題になりました。
ということで今回は、ベトナムサッカーのすべてを解説しちゃいます。
ベトナム人との会話のネタにしてもらえれば幸いです!
ベトナムでサッカーが人気な理由
サッカーはベトナムで最もポピュラーなスポーツのひとつです。
いたるところにフットサル場が整備され、大学のグラウンドはサッカーをする学生であふれています。
一体どうしてサッカーはベトナムでそんなにも人気なのでしょうか?
これはずばり、U23ベトナム代表がアジアNo.1を決める大会、『AFC U23アジア選手権2018』で準優勝に輝いたことがきっかけです!
この大会でU23ベトナム代表は、カタールやオーストラリアなどの強豪を次々と撃破し、見事準優勝を飾りました。
それまでのベトナム代表は主要大会でタイトルを獲得したことがほとんどなく、この規模の大会で準優勝という成績を修められたことはベトナムサッカー史に残る快挙でした。
この大会を通じて初めてサッカーに興味を持ったベトナム人も多く、ベトナムサッカー史の転換点ともいえる大会でした。
ベトナムサッカーの軌跡
ここではベトナムサッカーがどのように発展してきたのか、その軌跡をたどってみましょう。
南北分断期
ベトナムは第二次世界大戦後の1954年、ジュネーブ協定により共産主義国の北ベトナムと、親西側陣営の南ベトナムに分断されてしまいました。
よって当時は南北それぞれに代表チームが存在していました。
南ベトナム代表はAFCアジアカップに2度出場し4位に輝くなど多くの実績を残した一方で、北ベトナムはFIFA(国際サッカー連盟)に未加盟で、専ら共産国(中国、北朝鮮、キューバ)との親善試合を行うのみでした。
この状態は1991年まで続きました。
黎明期
1991年に北ベトナム代表と南ベトナム代表が統合されベトナム代表となると、数多くの国際大会に参加するようになります。
東南アジアNo.1を決める大会『東南アジアサッカー選手権(現スズキカップ)』ではそこそこの成績が残せていたものの、アジアNo.1を決める大会『AFCアジアカップ』では予選敗退が続き、思ったような結果は残せていませんでした。
ヨーロッパ式のサッカーを落とし込もうと、多くのヨーロッパ籍監督を招聘しましたが結果はいまいちでした。
全盛期
ベトナム代表の主な実績 | ||
---|---|---|
2007年 | AFCアジアカップ | ベスト8 |
2008年 | 東南アジアサッカー選手権 | 優勝 |
2017年 | U20ワールドカップ | 初出場 |
2018年 | AFCU23アジア選手権 | 準優勝 |
東南アジアサッカー選手権 | 優勝 |
2007年に『AFCアジアカップ』で初のベスト8入りを果たすと、ベトナムサッカー界の流れが変わります。
その翌年には『東南アジアサッカー選手権(第1回スズキカップ)』で初優勝。
ベトナムが国際大会でタイトルを獲得したのはこの時が初めてでした。
その後もベトナム代表の勢いは止まらず、2017年にはU20ベトナム代表がワールドカップに初出場。
2018年にはU23ベトナム代表が『AFCU23アジア選手権』で準優勝に輝きました。
この年には『スズキカップ』でも優勝し、2度目の東南アジアNo.1に輝きました。
2019年の『AFCアジアカップ』では決勝トーナメントで日本に敗れたものの、2007年以来2度目のベスト8に輝くなど、アジア全体においても存在感を強めています。
2021年5月30日現在も開催中の『2022年カタールワールドカップ アジア予選』においても好調を維持しており、本選出場への期待が高まっています。
ベトナムサッカープロリーグ(Vリーグ)
日本にはJリーグ、イングランドにはプレミアリーグがあるように、ベトナムにもサッカーのプロリーグが存在します。
それが『Vリーグ』です。
Vリーグは1980年にセミプロリーグとして創設されました。
2000年にプロリーグに改組され、2021年シーズンは14クラブが参加しています。
2021年6月現在トップを走っているのは『ホアンアライザライFC』です。
優勝となれば2004年以来17年ぶりということになります。
また、前年王者のハノイFCは7位に沈んでいます。
Vリーグでプレーする日本人選手
日本人選手の海外進出が進む中、Vリーグでプレーする日本人選手も増えてきています。
ここでは、Vリーグ2021年シーズンを戦っている日本人選手をご紹介します。
松井大輔(まつい だいすけ)
言わずと知れた、日本サッカー界の大スター。
京都パープルサンガで活躍後、若くしてフランスにわたり欧州の様々なチームを渡り歩いた。
2003年には日本代表デビューを果たし、翌2004年にはU23日本代表としてアテネオリンピックに出場。
背番号10を背負った。
2010年には南アフリカワールドカップメンバーに選出され、ベスト16進出に大きく貢献。
日本代表での通算成績は31試合1ゴール。
2021年シーズンよりサイゴンFCでプレーしている。
*2021年4月をもってサイゴンFCとの契約解除。
高崎寛之(たかさき ひろゆき)
浦和レッズでプロとしてのキャリアをスタートさせ、その後はヴァンフォーレ甲府、徳島ヴォルティス、鹿島アントラーズなど国内チームを渡り歩いた。
2016年にローンで加入した松本山雅FCでは加入初年度から16ゴールを挙げ、翌2017年シーズンには自己最多の19ゴールをマークした。
2018年シーズンにも7得点を挙げ、当時J2に所属していたチームを初のJ1昇格に大きく貢献した。
2021年シーズンより松井と同様サイゴンFCに加入している。
*2021年4月をもってサイゴンFCとの契約解除。
苅部隆太郎(かるべ りゅうたろう)
FC岐阜でキャリアをスタートさせたが、度重なる怪我に苦しみ2016年に契約解除となった。
その後はタイ、インドネシア、ベトナムなど東南アジア諸国を渡り歩き、2020年にはサイゴンFCのフロントに就任した。
しかし、2021年4月の松井、高崎両選手の契約解除を受け現役復帰。
今後の活躍が期待されている。
ベトナム代表の有望若手選手
近年のベトナムサッカー界の躍進は、有望な若手選手が支えています。
海外に進出するベトナム人選手も年々増加し、今後もその流れは続くと考えられます。
ということで、最後にベトナムの若手有望選手を3名ご紹介して終わりたいと思います。
グエン・クアン・ハイ
生年月日:1997年4月12日
身長:168㎝
体重:65㎏
所属:ハノイFC
ポジション:MF
2017年6月に弱冠20歳でA代表デビュー。
同年9月にはA代表初得点もマークした。
2018年に行われたAFCU23アジア選手権では得点ランキング2位となる5得点を挙げ、チームの準優勝に大きく貢献した。
近年は海外移籍のうわさが後を絶たず、日本ではJ2のレノファ山口FCが獲得に乗り出したこともあった。
グエン・コン・フオン
生年月日:1995年1月21日
身長:168㎝
体重:65㎏
所属:ホーチミンシティFC
ポジション:FW
ホアンアライザライFCでプロとしてのキャリアをスタート。
初出場した試合でいきなり2得点を挙げると、およそ2年間で75試合に出場し25ゴールをマークした。
2016年には当時J3だった水戸ホーリーホックにローンで加入。
その後は韓国の仁川ユナイテッド、冨安や遠藤航、鎌田などが所属していたことでも知られるベルギーのシントトロイデンなどを渡り歩き、2020年からホーチミンシティFCで活躍している。
ベトナム代表では同世代のエースとして活躍しており、そのプレースタイルから『ベトナムのメッシ』と異名を持つ。
ダン・バン・ラム
生年月日:1993年8月13日
身長:㎝
体重:㎏
所属:セレッソ大阪
ポジション:FW
ロシアとベトナムのハーフであるラムは、ロシアの名門スパルタク・モスクワのユースで才能を開花。
ディナモ・モスクワユースでの活躍を経て、VリーグのホアンアインザライFCでプロとしてのキャリアをスタートさせた。
ベトナム代表としても23試合の出場経験があり国際経験も豊富。
今シーズンよりJ1セレッソ大阪でプレーしており、その活躍が期待されている。
まとめ
いかがだったでしょうか。
近年のベトナムサッカーの発展は著しいです。
2020年9月には、元日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏がU19ベトナム代表監督に就任し、ベトナムサッカーのより一層の発展が期待されています。
2022年カタールワールドカップ予選でも好調ですし、初のワールドカップ出場なるかということで大注目です。
今後もベトナムサッカーから目が離せませんね!
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