ベトナム統計局にある興味深いデータを分かりやすく皆さんにお伝えする【ベトナム何でも統計局】。
今回はベトナム人の識字率に焦点を当てていきたいと思います。
ベトナムは近年急激なスピードで経済成長を続けています。
どんな国でも急激な経済成長の背景には教育水準の向上があるものです。
ということで今回はベトナム人の識字率に関するデータを見ていきたいと思います。
1.ベトナム人の識字率
そもそも識字率とは「その国で文字を読み書きできる人の割合」のことを言います。
なお今回のデータはベトナム統計局のデータに基づくものであり、すべて15歳以上の識字率を表記しています。
それでは、まずはベトナム人の識字率と日本人の識字率を比較してみましょう。
識字率 | |
---|---|
ベトナム | 95.8% |
日本 | 100% |
日本はほぼ100%なのに対し、ベトナムは95.8%と若干差があります。
どのような人たちが文字を読むことが出来ないのかを探るために、もう少し細かいデータを見ていきましょう。
1.1 男女別識字率
続いてベトナム人の男女別識字率を見ていきます。
日本の識字率はほぼ100%であるため、近年は調査されていないようです。
男女別識字率 | ||
---|---|---|
男性 | 女性 | |
ベトナム | 97.0% | 94.6% |
女性の方が2.5%ほど低い水準となっています。
やはり地方ではいまだに男性が教育を受け仕事をし、女性は家にいるという文化が根強いためでしょうか。
1.2 居住地別識字率
今度は居住地(都会、地方)別の識字率を見てみましょう。
居住地別識字率 | ||
---|---|---|
都会 | 地方 | |
ベトナム | 98.3% | 94.3% |
都会と地方では4ポイントも差がありました。
地方の識字率は94.3%ですので、約17人に1人が文字を読み書きできないことになります。
私の中学校は1クラス35人でしたので、クラスに2人読み書きができない子がいることになります。
そう考えると結構多いですよね。
1.3 地域別識字率
ベトナムは大きく以下8つの地域に分けることが出来ます。
ベトナム統計局のデータでは東北部と西北部、北中部と南中部がそれぞれ1つにまとめられていましたので、便宜上
東北部+西北部=北部
北中部+南中部=中部
と呼ぶことにします。
地域別の識字率についてはグラフでそれぞれの地域を比較してみましょう。
首都ハノイの位置する紅河デルタや、ベトナム最大の都市ホーチミンの位置する東南部さすがの高さです。
一方中部高原や北部など山がちな地域ほど識字率が低くなっています。
とくに北部は多くの少数民族が暮らす地域であるため、識字率が非常に低くなっています。
1.4 省別識字率
最後に省別に識字率を見て終わりにしましょう。
省別識字率(2019年) | |
---|---|
ハノイ | 99.2% |
タイビン | 99.0% |
ハイズオン | 99.0% |
ハイフォン | 99.0% |
ホーチミン | 99.0% |
フンイエン | 98.9% |
バクニン | 98.8% |
ダナン | 98.7% |
ナムディン | 98.7% |
バクザン | 98.7% |
ビンフック | 98.7% |
ニンビン | 98.6% |
ハーナム | 98.6% |
タイグエン | 98.2% |
ハーティン | 98.5% |
フート | 98.5% |
ビンズオン | 98.0% |
ドンナイ | 97.9% |
クアンビン | 97.7% |
ブンタウ | 97.5% |
ゲアン | 97.4% |
タインホア | 97.3% |
ビンディン | 97.2% |
クアンニン | 97.0% |
ロンアン | 96.7% |
カーマウ | 96.6% |
カントー | 96.5% |
ホアビン | 96.3% |
カインホア | 96.2% |
クアンナム | 96.2% |
ティエンザン | 95.9% |
ヴィンロン | 95.8% |
ランソン | 95.4% |
ベンチェー | 95.2% |
ラムドン | 95.2% |
バックリエウ | 95.1% |
タイニン | 94.9% |
フーイエン | 94.7% |
ビントゥアン | 94.6% |
ハウザン | 94.4% |
トゥエンクアン | 94.3% |
フエ | 94.0% |
ドンタップ | 93.8% |
ビンフオック | 93.8% |
キエンザン | 93.4% |
クアンチー | 93.4% |
クアンガイ | 93.3% |
ダクノン | 92.7% |
ダクラク | 92.6% |
バックカン | 91.7% |
アンザン | 91.6% |
コントゥム | 90.0% |
チャービン | 89.5% |
ソクチャン | 89.3% |
イエンバイ | 88.5% |
ニントゥアン | 87.9% |
ザーライ | 85.9% |
カオバン | 85.7% |
ラオカイ | 82.1% |
ソンラ | 78.9% |
ハザン | 73.5% |
ディエンビエン | 73.1% |
ライチャウ | 64.4% |
こう見るとやはり地域間の格差が大きいですよね。
びっくりするのはライチャウ省の64.4%や、ディエンビエン省の73.1%。
やはり地方の山岳地帯には十分な教育が行き届いていないのかもしれません。
まとめ
全体でみると95.8%もあるベトナム人の識字率ですが、省別にみると地域差が非常に激しいことが分かりました。
特に中国国境付近の北部山岳地帯には著しく識字率が低い省が複数存在しています。
この地域間格差を以下に埋めていくかということが、ベトナム教育の今後の課題のようにも思います。
今後もベトナムに関する有益なデータをまとめていきたいと考えているので、是非ご覧ください。
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